何年か前のこのくらいの時期。
夏服から秋物に変える位の時期。
ほぼ満員の電車に乗っていました。秋にしては割と蒸し暑い日でしたが、それよりもその車両の乗客がちょっと不快に感じていたのが車内に漂う防虫剤の匂いでした。
ああ、きっとタンスの中から長袖を出してきたんだな。とは思いつつもその匂いは車両中に充満していました。
ある駅で女子大生らしき2人組が乗ってきました。入った瞬間に匂いに気付いたらしく、1人はちょっと顔をしかめましたが、もう一人の子がちょっと嬉しそうに
「あ、ひな祭りの匂いがする」
と言ったのです。
…なんだかとてもいい気分になりした。他の乗客たちもきっとそうだったでしょう。
ちょっとだけいい話を書きたいなと思って書いてみました。
実話です。
吉田深夜